『ファンタジー資料集成 幻獣&武装事典』正誤表

 三才ブックス様の『ゲームラボ』誌に長年連載して参りました「幻獣&武装図鑑」の単行本版が本日、刊行されました。十代のバイブルであった『RPG幻想事典』(日本ソフトバンク)、『モンスター・コレクション−−ファンタジーRPGの世界』(富士見書房)、そして『ウィザードリィ モンスターズマニュアル』(MIA)を念頭に置いた、ゲームカルチャー視点での「剣と魔法のファンタジー」の解説書となります。
 お陰様で、山のような仕事を抱えて日々あっぷあっぷしております中、新規に26項目を書きおろすなど(外注ライターさんの御協力をいただきつつ)、どうにか刊行まで持っていくことができました。
 

 誠に申し訳ないことに、現時点で既にいくつか誤記を見つけてしまっております。
 正誤表をこちらのエントリにて公開致しますので、御参考に供していただければ幸いです。
 ご購入いただきました読者の皆様に、この場を借りて深くお詫び申し上げます。

  • P016 左段下から8行目 誤)『帰ってきたウルトラマン』 正)『ウルトラマン
  • P022 左段上から5行目 誤)奈良県 正)滋賀県
  • P026 右段下から5行目 誤)20世紀ドイツ 正)19世紀ドイツ
  • P034 左段上から7行目 誤)夜眼 正)暗視
  • P048 右段上から5行目 誤)『創造の書』(後述) 正)『形成の書』
  • P070 右段下から2行目 誤)アスオルフォ 正)アストルフォ
  • P071 左段10行目

誤)なお、聖徳太子蘇我馬子が著したと称する平安時代偽書先代旧事本紀』には、素戔嗚尊の体内の猛気が吐き出されて天狗神になったという俗信が載っている。
正)江戸時代の偽書先代旧事本紀大成経』に、素戔嗚尊の体内の猛気が吐き出されて天狗神になったとあるが、もとになった平安時代偽書先代旧事本紀』には該当記述がない。

  • P108 右段上から13行目 誤)アシュタルテセト 正)アシュタルテをセト
  • P113 PICKUP 角川書店の間違いで、書影もミスです
  • P114 右段上から14行目 誤)空を 正)海を
  • P130 右段下から6行目 誤)アイラーヴァラ 正)アイラーヴァタ
  • P162 右段下から9行目 誤)『アスプラモンテ』 正)『アスプロモンテ』

『中つ国サーガ読本』修正事項

 P259の2段目末、3段目末で「カラクウェンディ」と「モリクウェンディ」が逆になっています。
 小事典ではちゃんと合ってるので、おそらく文字数調整中の自原稿内コピペミスかと思われます。

『ゲームシナリオのためのクトゥルー神話事典』エラッタ

 拙著『ゲームシナリオのためのクトゥルー神話事典』(SBクリエイティブ)の増刷に合わせ、大きめの修正事項(細かいてにをはミスではなく、情報としての誤謬)をエラッタとして公表します。

  • P023下3行目:誤「クトゥルー神話大全」、正「クトゥルー神話全書」
  • P027上7行目:誤「旧界」、正「旧神」
  • P043上9行目:誤「索求者」、正「探求者」
  • P054下9行目:誤「墳墓の怪」、正「墳丘の怪」
  • P057上2行目:誤「ルルイエ文章」、正「ルルイエ文書」
  • P068上8行目:誤「ラヴクラフトが代作した」、正「ラヴクラフト「闇に囁くもの」(1930年)、続いて彼が代作した」
  • P123上9行目:誤「流基葡鱗【るきぶりん】」、正「流基葡鱗【るもとぶりん】」
  • P128上9行目:誤「西インド」、正「東インド
  • P195下3行目:誤「ヨグ=ソトースの影」、正「ユゴスからの侵略」
  • P245上7行目:誤「流基葡鱗【るきぶりん】」、正「流基葡鱗【るもとぶりん】」
  • P245上13行目:誤「寿渡似【おとに】」、正「寿渡似【すとに】」


 電話口での口頭修正の伝達ミス(流基のルビ)や、肉筆の赤入れの字が読みづらかったりと(「旧界」の誤字や寿渡似のルビ)、原因はまあ色々であります。購入者の皆様には、謹んでお詫び申し上げます。

2015年3月21日追記:
 今月、SBクリエイティブ様より出荷されました第3刷にて、『クトゥルーの子供たち』『風神の邪教』など、『ゲークト』執筆時に未刊行だった作品邦題の更新などを行いました。

旧版との差分

 以下、旧版を既にお持ちの方向けに、具体的な差分を中心に内容を紹介させていただきます。

 旧『「天使」がわかる』『「堕天使」がわかる』(ソフトバンク文庫)を再編集し、同時に増補改訂したものです。
 堕天使本を出した段階ではシリーズが続くことを想定していなかったこともあり、天使本は堕天使本に含まれる一部項目の追加差分も兼ねておりました。今回、改めて「天使」「堕天使(悪魔)」に項目を分けた上で、新規項目の追加を行っています。
『いちばん詳しい「天使」がわかる事典』の増補改訂内容は次の通りです。

  • 旧版の「ルシフェル」はラテン語読み準拠の「ルキフェル」、『光輝の書(ゾハール)』は『光輝の書(ゾーハル)』、また「神」の語につけていた「ヤハウェ」のルビを一部例外を除いて取り外すなど、用語周りの調整。
  • 『「天使」がわかる』から堕天使関連項目をオミット。堕天使そのものについて解説する「堕天使・悪天使」の項目を新たに追加し、『いちばん詳しい「堕天使」がわかる事典』とは異なる内容の「ルキフェル」項目を追加。また、「アイオーンとアルコーン」の項目は分割せず、アルコーンについても本書で扱う。
  • 『「堕天使」がわかる』で扱っていた「サリエル」について、改めて一次資料を再検証の上、こちらで新規に書き起こし。
  • 新規項目「天国/煉獄/地獄/ライラ(『はたらく魔王さ……もといユダヤ伝説)/エレレート(グノーシス文献)/マンダ・ダイエー/プタヒル/ウルとルーハー(以上3項目マンダ教)/ナハシュバト、光のアダマス(以上2項目マニ教)/マラク・ターウース(ヤズィーディー)/モロナイ(末日聖徒イエス・キリスト教会)/コロンゾン(エノク魔術)/スピリチュアリティの天使」を追加。
  • 新規資料の導入による全体的な情報のアップデート。
  • コラム「キリスト教圏の死神」を追加。

『いちばん詳しい「堕天使」がわかる事典』の増補改訂内容は次の通りです。

  • 『「堕天使」がわかる』に、『「天使」がわかる』の堕天使関連項目を移動、マージ。
  • 旧「マモン」項目については、エリザベス朝時代の英文学におけるマモンの情報を反映させるため、ほぼ書き直し。
  • 新規項目「ライトボーン/ルキフグス/サタナキア/アガリアレプト/サルガタナス/ブズラエル/デモゴルゴン」を追加。
  • 魔術書『ソロモンの小さき鍵』に基づくソロモン王七二柱の魔神(第二章)については、9割方書き直し。
  • 新規資料の導入による全体的な情報のアップデート。
  • ソロモン王由来の魔術書の原点とも言える旧約偽典『ソロモンの誓約』に登場する堕天使/悪魔たちをコラム(三分割)の形で紹介。
  • ローマ・カトリックの悪魔祓いについて、コラム「エクソシズム」で紹介。

『いちばん詳しい「北欧神話」がわかる事典』『いちばん詳しい「ケルト神話」がわかる事典』については、旧版との項目的な変動はありません。もちろん、全体的な加筆を行っておりまして、旧版ではちょろっとしか触れられなかったゲイ・ボルグやレーヴァテインがらみなど、取りこぼしていた情報を可能な限り突っ込みました。中にはほぼ全部書き直した項目もあります(ケルト神話本の「ラーンスロット」項目、『オシァン作品集』にまつわるコラムなど)

 実際のところ、中近世のキリスト教圏の文学(詩、散文)なり演劇なり美術なりを眺め渡すと、天使・悪魔のみならず運命の女神だの死神だのといった「神々」がひしめく、「一神教」のイメージから離れた汎神話的世界が広がっておりまして、有名どころではダンテ・アリギエーリの『神曲』、ジョン・ミルトンの『失楽園』など、グレコ・ローマンの神々なり英雄なりをうまいことキリスト教宇宙観の中に配置しようとする試みが繰り返されてきました。『侵略の書』がアイルランドの神話、『ゲスタ・ダノールム』が北欧の神話でそうしたように。
 その一端について、天使事典ではコラム「キリスト教圏の死神」、堕天使事典では「デモゴルゴン」項目で多少触れてはおりますが、まだまだ書いていないことがたくさんあります。このあたりについても、いずれ何かしらの形でまとめてご紹介してたいですね。

「あれ、クトゥルー神話はないの?」
「『ゲームシナリオのためのクトゥルー神話事典』の2刷が2月中に出回りますので、そちらをどうぞ」

新刊4冊のご案内

 2月18日、SBクリエイティブさん(旧・ソフトバンククリエイティブ)から出していた天使、堕天使、北欧神話ケルト神話の解説本の増補改訂版が、『いちばん詳しい「●●」がわかる事典』シリーズとして同時4冊刊行されることになりました。
 このシリーズ、昨年11月末に突然、営業サイドの意向で立ち上がることになりまして、先方としてはおそらく判型を変えて気軽に再販くらいの話でご提示いただいたようですが、この機会を逃さじと大量アップデートをかけた次第です。
 刊行月が2月と決定済みでしたので、編集部からは「12月中に差分原稿をいただけるなら」という条件が提示されておりました。さもないと、森瀬のことだから全部書き直そうとするに違いないという編集サイドの判断は正しいC=(-,,,- )。何しろ、電子版が発売された時に、時間的都合から全く手を入れさせてもらえませんでしたので、かなりのフラストレーションが溜まっていたのであります。
電子書籍の時代になると、本の内容改訂が容易になる」というのは嘘でしたね! 現行のフォーマットでは結局、DTPデザイナーによる修正作業及び販売サイトでのデータ差し替えで工数が発生するのですが、これが結構でっかい金額で−−テキストだけちょろっと入れ替え、というわけにはいかんのです。
 と、いった愚痴はさておきまして、ようやく宿題がひとつ片付いた感じです。
 他の仕事を抱えていたこともありましたので、資料(無論、日本語ではないものが大半です)の洗い出しに際しては友人知人のライターさんたちの協力も仰ぎました。この場を借りて、立花圭一氏(天使、堕天使)、隼瀬茅渟氏(堕天使)、古河切夏氏(北欧神話)、小森瑞枝氏(ケルト神話)に深く感謝致します。
 ええ、そりゃもう凄い勢いで増補して改訂しました。旧版では参照できなかった一次文献を再調査し、全面的にアップデートしております。判型が一回り大きくなった分、一ページあたりの文字数も増えましたので、可能な限り追加情報を突っ込みました。結果、新規に書きおろした項目のページ数だけで1冊分を超える分量があります。旧版をお持ちの方にこそお読みいただきたいところです。
 この4冊がうまいこと回転してくれて、『いちばん詳しい「●●」がわかる事典』シリーズが続刊ということになりますと、既に企画を提示している「ギリシャローマ神話」「アーサー王物語」「日本神話」「ドラゴン」などを動かすことができるようになります。お一人様につき一冊と言わず二冊でも三冊でも是非にどうぞ。(真剣な目で)

もしも、邪神と大魔術師がガチで戦ったら

 こうなる、という良い見本。
 マーベルの"Strange Tales"(第二期)の#14(1988年)にて、直前に戦った敵の力を吸収してスーパーサイヤ人じみた外見変化を起こしたドクター・ストレンジと、地球の命運を賭けて凄絶なバトルを繰り広げるシュマ=ゴラス。

 その激しい戦いは地球上からも空を走り抜ける火柱などの形で観測され、全人類のSAN値が直滑降状態というごらんの有様ですよ。
 なお、先日のエントリで紹介した"Fantastic Four"#314(1988年)の画像は、まさにこの戦いの最中のものです。してみると、シュマ=ゴラスの復活戦は、他の作品にも飛び火した、大きな−−といかぬまでも、中規模のイベントだったわけです。
 それにしても、緑になったり紫になったり、シュマ=ゴラスも大変だ。

 ドクター・ストレンジものをはじめとするマーベル、DC、その他各社のクトゥルー・アメコミの奔放な設定、描写、アクションの数々に2013年頭の時点での森瀬のクトゥルー神話世界観は根幹を揺るがされておりまして、ようやく再構築が終わりつつあるところであったりします。

 もひとつオマケに、"Journey Into Mystery"誌(2012年の号)にて、悪魔たちの世界でふよふよ浮いているシュマ=ゴラスのちょっとかわいらしい姿。
 ちなみに、"Journey Into Mystery"誌はマイティ・ソーの初出でもあるマーベルの古くからの雑誌ですが、創刊当初はホラー・コミックでした。コミックコードが緩和された1970年代の一時期にホラー・コミックとしてリニューアルされ、H・P・ラヴクラフト、ロバート・ブロックによるロバート・ブレイク三部作のコミカライズが掲載されたことがあります。

Journey Into Mystery

Journey Into Mystery