ラヴクラフトノミコン

詳説「ダンウィッチの怪」お箸休め

現在連投中の「詳説ダンウィッチの怪」について、いくつか。 序章 AQUILA ARGENTEA(白銀の鷲) 第1章 ARKHAM CYCLE(アーカム物語群) 序章15KB、執筆に6時間。第1章33KB、執筆にほぼ序章の2倍。 着実に増殖しとりますね。平日に1日1時間程度時間をあてたと…

詳説「ダンウィッチの怪」第1章-3

ニューイングランド地方を背景とするラヴクラフトの小説作品は、多くの場合、その直前に彼が直接その地に足を運んだことが執筆のきっかけになっている。 不全麻痺を患い(実際には梅毒であったようだ)、精神に異常を来たしてプロヴィデンスのバトラー病院に…

詳説「ダンウィッチの怪」第1章-2

前述の『クトゥルー神話全書』において、リン・カーターは「ダンウィッチの怪」を〈ミスカトニック郡〉〈ラヴクラフト地方〉を舞台とする物語群の最初の一冊と位置づけた。 確かに、「クトゥルーの呼び声」はプロヴィデンスに始まる物語であはったが、ニュー…

詳説「ダンウィッチの怪」第1章-1

序章を読む[この詳説は、ラヴクラフト自身の手になる文書は当然ながら、リン・カーター、S・T・ヨシ、ドナルド・R・バールスン、竹岡啓はじめ先人たちによる研究成果を踏まえつつ、森瀬繚の独自研究に基づく見解を少なからず含んでいます。本稿の内容をWEBサ…

詳説「ダンウィッチの怪」第1章-4

さて、我々はかくの如くにして、ダンウィッチの地理上の位置をある程度特定することができた。この先に進む前に、最後に残された問題−−「ダンウィッチ」という名前について、解決しておかねばならないだろう。 ラヴクラフトが「ダンウィッチ」という地名をど…

詳説「ダンウィッチの怪」序章-4

しかしながら、疑問が残る。 果たして、ラヴクラフトは数年来温め続けたこのプロットを、これほどまでに深い愛着をもって繰り返し語ってきた構想を、本当に完全に破棄してしまったのだろうか−−。さて、筆者は読者諸兄諸姉の注意を喚起したい。 改めて、「古…

詳説「ダンウィッチの怪」序章-3

さて−−。『アエネーイス』中盤最大の山場とも言える第6巻、息子アエネーイスがイタリアの地で創りあげる新たな国−−ローマの運命について、老父アンキーセスが告げる予言に思いを馳せ(冒頭に掲げた引用はその一部)、街を覆うハロウィーンの賑わいに耳を傾け…

詳説「ダンウィッチの怪」序章-2

「古えの民」は、ラヴクラフトの死後、1940年にSFファンジン"Scienti-Snaps"第3号に掲載されたのが初出である。その後、1944年にアーカムハウスから刊行されたラヴクラフトにまつわる拾遺的な作品集"Marginalia(欄外)"に掲載されている。 日本では、福岡洋…

詳説「ダンウィッチの怪」序章-1

「おお見よ何と精力に、彼らは満ちてしかもなお、市民のほまれの樫の木の、冠巻いてその枝は、額の上に影おとす。汝のためにあれたちは、ノーメントゥムやガビイーや、フィーデーナ市を建設し、コルラーティアの高城や、ポーメティイーやイヌウスの、砦やポ…

企画メモ「森瀬繚のラヴクラフトノミコン」

通常日記を更新する時間がなかなか取れないので、とりあえずメモとして投下。はてな日記(某サイト立ちあがった後はそちら)連載形式で、ひたすらH・P・ラヴクラフトの特定作品の詳説を貯めて行くプロジェクト。 PHP研究所クラシック・コミックス『クトゥル…