「民話作戦計画」
Twitterでの呟きネタからの転用で、1945年グアム島における民話作戦計画についてのメモ書き。
グアム島に住むチャモロ人の民話に関する興味深いエピソード。太平洋戦争中、南方戦線に政府直属の民話学者(名前は不明)が派遣され、現地人から土着の民話を蒐集したという話がある。
当時、グアム島駐留軍の責任者は第21爆撃兵団司令官カーチス・E・ルメイ少将だというから、1945年のことだろう。対日戦略爆撃が重大な局面に差し掛かる中、ヒュー・トロイ大尉ほか3名の情報将校に煩わしい民話学者をうろちょろさせないという重大な任務が与えられた。「民話作戦計画」である。
トロイ大尉以下の将校たちは、欧米で知られる既知の民話・童話からチャモロ民話をでっちあげ、エマヌエルという現地の少年の協力を得て民話研究家のフィールドワークに「協力」した。
太平洋の島と欧米の明らかな文化的交流を示すフォークロアの数々に有頂天になって本国へ引き上げた件の研究家がどのような論文ないしは報告書を作成、提出したのかについて、詳しいことは何もわからない。
以上は、H・A・スミスの『いたずらの天才』に見られるエピソードである。ヒュー・トロイというのは仮名だが、(修正、追記参照)どうやら実話であるらしい。問題は「南方戦線に政府直属の民話研究家を派遣」というくだりである。米政府は一体、「何」を探していたのだろう。情報求む。
なお、ラバン・シュリュズベリイ博士の協力を得た米政府によるいわゆる「ポナペ作戦」が実行されたのは、1947年9月のことである。
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追記:「ヒュー・トロイというのは仮名」と書いてしまったけれど、実名らしい。戦後はイラストレーターとなり、ルース・ソーヤー著の『空をとんだおんぼろ校舎』は日本語訳されて、1971年に学研から刊行されている。
参考:
http://en.wikipedia.org/wiki/Hugh_Troy
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