『JESUS 砂塵航路』単行本3冊連続刊行を大喜びする

 紙媒体優先で生きてきたので、電子配信のコミックというやつはどうにも性に合わない。合わないのだが、単行本化されるまでの間はその手段でしか読むことができないコミックの中に、こればかりは抑えなければならない作品があるので、付き合わざるをえないこともある。
 ひとつは、Yahoo!コミックで配信中の『マップス ネクストシート』。もうひとつは、小学館運営のモバイルコミック配信サイト、モバMANで配信中の『JESUS 砂塵航路』。奇しくも、ともに80〜90年代に夢中になって雑誌連載を追いかけた金字塔的傑作の続編である。ああ、認めるさ。僕は何だかんだで後日談とかキャラクターシステムとかワールドクロスとかそういう作品が、たぶん先天的に、骨の髄から大好きなんだ。

 教師という仮面の下に、殺し屋の顔を隠し持つ男・ジーザス。おとなしく教師生活を送ろうとした彼を卑劣な事件が襲い、学園は戦場さながらに…!?
−−ブックDB登録の小学館『JESUS 1』内容紹介

 まさか、この日記を覗きにくるような物好きで、読んでいない人は皆無と思いたいんだけど! 「平和ボケした日本の日常に放り込まれた戦闘のプロ」という、近年成功した作品であれば『フルメタルパニック』が筆頭にくるこうしたテーマを確立させたのが、原作・七月鏡一氏&作画・藤原芳秀氏による『週刊少年サンデー』誌連作作品、『JESUS』だ。この『JESUS』の正当な続編であり、時系列的にその数年後の物語である『闇のイージス』『暁のイージス』におけるジーザスのドラマを引き継いだのが、『JESUS 砂塵航路』という作品なのである。
 携帯電話の小さい画面にフラストレーションを溜めながら更新毎にひたすら読み進めてきたこの連載が、ようやく単行本にまとまってくれた。しかも、9、10、11月と連続刊行なのである。本来ならば、笛や太鼓でお迎えしたいところだ。ひゃっほう。

JESUS 砂塵航路 1 (ビッグコミックス)

JESUS 砂塵航路 1 (ビッグコミックス)

JESUS 砂塵航路 2 (ビッグコミックス)

JESUS 砂塵航路 2 (ビッグコミックス)

 1995年の地下鉄サリン事件のアオリを喰らって、打ち切りのような形で終わった『ジーザス』だったが、世界観を同じくするアフターワールドを描いた『イージス』もまた、掲載誌である『ヤングサンデー』誌の休刊によって、これまた実質的には打ち切りに近い駆け足での完結となった。何というか、運の悪いシリーズだ。
JESUS 砂塵航路』の道行きを心の底から祈りたい。いや、マジな話。