"At the Mountains of Madness(狂気の山脈にて)"の予告編について
ブログやTwitterなどで、youtubeにあがっているH・P・ラヴクラフト"At the Mountains of Madness(狂気の山脈にて)"のトレイラー(予告編)映像が紹介されているのを頻繁に目にするようになりました。
アップロード日:2008年4月12日
アップロード日:2008年9月2日
大変よく出来たムービーですが、これはギレルモ・デル・トロ監督が今後撮影するであろう"At the Mountains of Madness"とは何の関係もない、様々な映画のそれっぽいシーンを切り貼りしたファンムービーです。
昨今話題のデル・トロ監督の映画との関連性を装ったフェイクですらありません。これらの動画がアップロードされているyoutubeのページにおいて、製作者自身がはっきりとその素性について説明しています。以下、その一部を引用します。
This is actually a faux trailer for a fictional documentary about the events in ATMOM that I put together for my Call of Cthulhu game.
(実のところ、これは『クトゥルフの呼び声』(訳注:ケイオシアム社のTRPG)のゲームで使用するために制作した、「狂気の山脈にて(ATMOM)」の出来事に関するフィクション・ドキュメンタリーの疑似トレイラー(faux trailer)です)
そもそも、アップロードされた日付が2008年になっている時点で……。以前は動画再生中にポップアップが表示され、どの映画のシーンを引っ張ったものか引用元が表示されたのですが、youtubeのプレイヤーがアップデートされたか何かで見えなくなってしまった模様。『キングコング』『ヴァン・ヘルシング』『トランスフォーマー』などの映像が使用されていたように記憶しています。旧版のBGMは『リベリオン』ですね。
この動画を制作したPropnomiconは、プロップ(映画用語でいう小道具)にひっかけた名称が示す通り、TRPG『クトゥルフの呼び声(クトゥルフ神話TRPG)』向けにラヴクラフト作品やクトゥルー神話にまつわる様々なプロップを制作しているグループ(あるいは人物)です。Propnomiconの製作したユニークな作品の数々については、blog上でその写真を閲覧することができます。
Propnomicon:
http://propnomicon.blogspot.com/
素性はさておき、大変出来の良いムービーであることは確か。権利的に微妙ではありますが、自分がこうした嘘予告編を制作するならどの映画を素材に……などとあれこれ妄想してしまいます。
追記:
ギレルモ・デル・トロによる"At the Mountains of Madness"の映画化は昨日今日降ってわいた話ではなく、森瀬が確認できる限りで一番古い記事は「ドリームワークスが、ギレルモ・デル・トロ監督でH・P・ラヴクラフトの"At the Mountains of Madness"を映画化することを発表した」という2004年の記事です。
参考リンク:
・Call of Cthulhu: Beyond the Mountains of Madness announced(Gamespot)
これは、Headfirst Productions開発のアクションAVG"Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth"の続編として、映画とタイアップした"Call of Cthulhu: Beyond the Mountains of Madness"が企画されていることを報じた記事です。("Beyond the Mountains of Madness"というと、CoCの南極サプリメントと同じタイトルですね)
その後、2007年秋にはデル・トロ監督による『パンズ・ラビリンス』公開時に、映画.comに"At the Mountains of Madness"映画化についての話題が掲載され、ラヴクラフトファン、クトゥルー神話ファンの間で話題になりました。
参考リンク:
・ギレルモ・デル・トロ監督が、ラブクラフト神話に挑戦!(eiga.com)
タイトルが"At the Mouth of Madness"と、別の映画になっちゃっているのはまあ御愛嬌。