『クトゥルー神話全書』について

 2010年中の木星到達はついに叶わぬ夢と消え去りましたが、ともあれ2011年がやって来ました。Happy New Aeon! 一瞬は永遠であり、365日もまた永遠です。皆様が1年後のこの日を健やかに迎えられますようにお祈り申し上げます。
 さて、mixiで、この日記でといったい幾度取り上げてきたか面倒臭くて数える気にもならないリン・カーター『クトゥルー神話全書』が、いよいよ今月末、1月27日に発売されます。

クトゥルー神話全書 (キイ・ライブラリー)

クトゥルー神話全書 (キイ・ライブラリー)

 amazonに登録されております「内容紹介」によれば、以下のようになっております。

H・P・ラヴクラフトの生涯を追いつつ、その代名詞ともなったクトゥルー神話大系を詳細に紹介。詳細な神話大系リスト、発音比較表を付す。高名な研究書、ついに邦訳なる。


 これを受けて、本書を「クトゥルー神話の膨大な設定について解説した本」だと思われている方が少なからずいらっしゃるように見受けられます。
 正確には、こんな感じです。

H・P・ラヴクラフトの生涯を追いつつ、その代名詞ともなったクトゥルー神話大系の成立過程を詳細に紹介。邦訳のある海外神話作品リスト、表記の比較表を付す。高名な研究書、ついに邦訳なる。

 フィクション・サイドではなく、ノンフィクション・サイドの解説書ですので、あらかじめ御理解の上で御購入ください。とはいえ、前者であれ後者であれ、「クトゥルー神話」というものに興味をお持ちの方ならば、読んでおいて損はありません。是非ともお手にとっていただければ幸いです。「邦訳のある海外神話作品リスト、表記の比較表」については不肖・森瀬繚が作成を担当させていただきました。
 ちなみに、「クトゥルー神話の膨大な設定について解説した本」をお探しの方には、新紀元社から刊行されているダニエル・ハームズ氏の労作『エンサイクロペディア・クトゥルフ』をお勧めします。新紀元社という版元からChaosium社の『クトゥルフ神話TRPG(旧・クトゥルフの呼び声)』の解説書と思われている方もいらっしゃるかも知れませんが、さにあらず。TRPGも含む、英語圏で刊行されたクトゥルー神話作品全般に取材した事典です。ちなみに、日本国内の作品については、森瀬が私家版の事典を細々と編纂し、時折、中間版をコミックマーケットにて頒布しております。いずれはこれを英訳し、英語圏にフィードバックしたいですね。