ニューイングランド幻想紀行

 mixiの日記やクトゥルー神話コミュニティなどで若干紹介してきたが、昨年8月、2週間をかけてニューイングランド地方のいわゆるラヴクラフト・カントリーをほぼ全周するという大掛かりな実地調査を行ってきた。

 当初乗る予定だった機体の不調で成田空港でまず足止め8時間、その後もトラブルが重なって経由地であるJFK空港構内で一晩過ごすハメになるという映画『ターミナル』ばりの実体験に幕を開けたこの取材行*1クトゥルー神話関連で回ってきたのは上の地図に示したポイントである。
 ボストン郊外の友人宅を策源地として、マサチューセッツ州内ではビーコンヒルやノースエンドといったボストン市街の各ホットスポットから、アーカムのモデルとして知られるセイラム*2、キングスポートのモデルとなったマーブルヘッド、インスマスのモデルとなったニューベリーポートとグロスター*3、ダンウィッチのモデルとなったウィルブラハム(近くにあるモンスンなども車でぐるりと)に赴き、「テケリ・リ! テケリ・リ!」というショゴスの泣き声のネタとなったエドガー・アラン・ポオ『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』と、ハーマン・メルヴィル『白鯨』の出発地として知られるナンタケット島にも足を伸ばした。
 マサチューセッツ州の北にあるニューハンプシャー州では先に触れたミステリイ丘のストーンヘンジ
 そして言うまでもなく、偉大なるH・P・ラヴクラフトがこよなく愛したロードアイランド州の州都プロヴィデンスではラヴクラフトの墓前に詣で、散歩コースを再現するべく、足を棒にして歩き回ってきた次第である。
 このあたりの取材成果については、いずれ書籍にてお目にかける予定だったが、この夏から秋にかけて僕が把握しているだけで5冊のクトゥルー神話関連書が刊行されるという「クトゥルー神話のターン」が始まることでもあるので*4、折を見てこの日記で紹介していくつもり。

*1:この時の経験談が余りにも……だったので、後にスザク・ゲームズ朱鷺田祐介氏によってTRPGのシナリオ化されるという栄誉に輝いた。

*2:日本では「セイレム」表記が多いが、ここは現地発音に従っておく

*3:いわゆる「妊娠協定」事件で一躍有名になったあの町。ここで恐ろしいものを目撃することになったのだが、それはまあ余談。

*4:翻訳書については、往々にして延期の可能性がつきまとうのだけれど