「関連作品・書籍を読む優先順位」についてのスタンス

 クトゥルー神話の解説書・研究書を読む以前に、まずH・P・ラヴクラフトの作品(東京創元社ラヴクラフト全集』など)を全部読むところから始めるべきでは、とのご意見を見かけました。
 このあたりについての森瀬のスタンスは、以前、はてな日記に書いています。

質問6:クトゥルフ神話を楽しむことができるのはどんな人?

「どのような人が」−−となりますと、なかなか難しいですね。それこそもう、好みの問題でしかないので。
 ホラー好きでもクトゥルー神話は肌に合わないという人がおりますし、そもそも〈クトゥルー神話〉と総称されている物語自体が実に多彩な広がりを見せています。
 既に申し上げた通り、何しろ数百の関連作品が存在していますので、自分の肌に合ったものを見つけることができれば良いのじゃないかと思います。
 朝日ソノラマ社から刊行されていたSF・特撮情報雑誌『宇宙船』の1985年4月号に、「クトゥルフ神話入門講座」というものが掲載されています。
 執筆者はクトゥルー神話ファンとして知られる菊地秀行氏で、このようなことを仰っています。


「入口なんて何だっていいのだ。「エイリアン」やH・R・ギーガーの画集"ネクロノミコン"だっていっこうにさしつかえはない。また、どこかの雑誌の恐怖小説特集に再録されていたヘーゼル・ヒールド(ラブクラフトの弟子のひとり)の短編だっていい。たしかに、その作品そのものの質にも関わってくるが、肝心なのは、入ってからどれだけその世界にのめり込めるか、そしてどれだけ世界を共有できるか、である。」


 どこかしら、クトゥルー神話にちょっとでも絡んだ作品に遭遇して、クトゥルーや『ネクロノミコン』といったワードに興味を抱くことができたなら、そこから入ってきてくれると嬉しいな、という感じです。
−−「2012-05-25 R25さんの質問に対する回答内容」より抜粋


 長いこと、「クトゥルーのク」「ネクロノミコンのネ」に少しでも掠る小説・コミック・映像作品・ゲームを渉猟してきました。その数は、日本国内で商業刊行されたものだけで優に600作品(シリーズ単位)を超えています。ラヴクラフトについてはS・T・ヨシの詳注つきペーパーバックはもちろん、アマチュア誌の方はちょっとムリですけれど"Weird Tales"はじめ初出誌にも手を出し始めました。
 昨年末からは、関連作品の載っているアメリカのホラー・コミックス(古いものは1950年代)にも進出しています。
 その上で、物凄く乱暴かつ老害丸出しの本音を申しますと−−クトゥルー神話好きならばなるべく読んでいて欲しいものではありますけれど、H・P・ラヴクラフト作品を読んでいようがいまいが、全体数から見れば大した違いはありませんですよ。(・,,,・ )